窯焚き 2018春

気持ちのよい季節です。
冬に作りだめた器を春に焼きます。
真冬は釉薬掛けが大変なので、春に窯焚きをすることにしています。

早朝に火入れ。
交代で窯の火の番をします。

最初からグングン温度を上げて昼前には950℃。還元に入ります。
ダンパーを開け、空気で煙突を塞ぎ、窯に圧をかけます。
横の吹き出し穴2か所、前に1か所を開け、炎の様子を観察します。

夕暮れ時。空の色と煙突の炎の赤のコントラストが美しい。

温度上昇は順調。
窯横の空気調節穴。レンガのほんのわずかな移動で空気の量が変わります。

1210℃で還元焼成から酸化焼成に戻します。
穴をふさぎ、全て窯の中の空気の流れは、一気に煙突へ。
そろそろ窯焚きも終わりが近づいてきたので、二人で止め時を調整します。

温度計も見ながら1250℃を1時間半くらいキープします。
最後の判断は色見。

この春の窯は2回とも、とても順調な窯焚きでした。
焼き上がりもgood。

焼き物をすると決めた時から、薪窯で焚くということだけはなぜか決まっていました。
なんでかな。焼くのが面白い。
作り続けていて色々迷いはありますが、この窯のおかげで、作るものや精神的なことも含め、よりどころがある気がします。大きく外れることはないでしょう。
薪の窯は準備も含め大変です。今回も入りきらなかった器がたくさん。でもすぐに次の窯が焚けるわけではありません。作る時も、窯詰めの時も欲望の塊ですが、窯焚きになると全ての執着心が消え失せ、なるようにしかならないさ、という気持ちになります。
このリセット感が次の窯へとまた気持ちを新たにさせてくれます。

お陰で窯焚きの材料の廃材もいい具合に手に入ります。
100年以上前の立派な家の柱や梁を燃やして器を焼いています。樹齢だと300年前ほどでしょうか。
そう思うともったいない失敗はできないなと思います。